まずは一番むずかしいとされる日本酒について
1本の日本酒が手元にある時、
どんな形で、いく通りの楽しみ方で飲まれているのでしょうか?
日本酒は大変複雑で妙味なわが国特有のアルコール飲料です。ちょっとした飲み方の違いで思わぬ味覚と出会ったりします。1本のお酒しかなくても多彩な飲み方をされることによって、多彩な顔を見せるのが日本酒です。まずは色々と楽しんで頂ければと思います。
では質問です。
あなたは1本のお酒をいくつの楽しみ方、飲まれ方をされていますか?
下記のように多彩な飲み方、楽しみ方が存在している中で《グラスに注いで飲む》というだけではもったいないと思いませんか。
もしかして今まで飲まれたお酒でも“出会っていない味覚”があるかもしれませんね。好みでないと決めつけていたお酒も、楽しみ方によっては“これ、好きだなぁ~”と思えることだってあるかもしれませんね。色々とお試しください。
①飲用温度変えて楽しんでいる。
・凍らす~冷す~温める~燗冷まし
温度5度違いであっても違う表情を見せたりします。
燗酒をする方法、燗酒の仕方、燗酒の酒器によっても味わいが変わります。
②スタイルを変えて飲んでいる。
・ロック、氷ひとつ浮かべて、加水する、加湯をする、炭酸で割る、シェイクする、カクテル、他のお酒とブレンド
加水ひとつでも軟水系と硬水系で味わいは変わります。
③搾られてから飲まれるまでの時間の違いで楽しんでいる。
・早飲み、冷蔵熟成で、常温熟成で、
搾られてすぐに飲むお酒としばらくたって飲むお酒の味覚は違います。
保存する温度によっても変わります。保存する年月によっても変わります。
(半年と1年、3年、5年、10年、20年、30年、50年・・・・)
タンク保存と瓶詰保存、大容量保存、小容量保存・・・・
④酒の肴を変えて楽しんでいる。
・味の濃いもの、淡いもの。甘いもの、辛いもの。酸っぱいもの。脂っこいもの。
苦いもの。塩辛いもの。臭いもの。魚介もの、肉もの、野菜もの、スイーツもの。
肴の味によって感じ方は大変違いを感じるものです。(ミカンを食べるときにチョコを食べるか、酢ものを食べるかのように)
⑤酒米の違いで楽しんでいる。
・山田錦、五百万石、美山錦、愛山・・・・・・
もっと細かくいえば、同じ産地の酒米でもランク別でも楽しめます。
⑥同じ米でも産地違いで楽しんでいる。
・播州山田錦、阿波山田錦、××山田錦・・・・
⑦酵母違いで楽しんでいる。
・7号系、9号系、花酵母・・・・・
⑧造り別で楽しんでいる。
・純米、吟醸、大吟醸、純米吟醸・・・・・
⑨発酵したモロミをお酒と酒粕に分ける工程の違いで楽しんでいる。
・そのまま(にごり酒)、斗瓶取り、直汲み、雫取り、木槽搾り、ステンレス槽搾り・・・
⑩搾られてからの後処理の違いで楽しんでいる。
・生酒、無濾過、二度火入れ、一度火入れ・・・・・・
⑪飲まれる酒器によって違いを楽しんでいる。
・素材の違い、形状の違いでも味わいは変わります。
実際には、上記のような事柄が掛け算されていることはごく自然なことです。
だから、造り手も、販売している者も知らない味覚がまだまだ存在しているはずです。
一本のお酒であっても無数に近い味覚があるといってもいいのかもしれませんね。
あなただけの新しい発見をされてみてはいかがですか。
そして、日本酒がこれまでに奥深い理由のひとつに、他のアルコール飲料よりもはるかに味覚成分数が多いことから、このような多彩な味わいを醸し出しているといえるわけです。(焼酎約80種類、ワイン約600種類、日本酒約1000種類以上といわれています。)